国際政治・アメリカ研究

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   トピックス――国際事情・アメリカ事情  
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2004年下半期2004年上半期2003年下半期2003年上半期2002年下半期2002年上半期2001年下半期2001年上半期



《2004年6月》
スーダンの内戦終結と新たな人道上の危機(滝藤奈都子)
イラク暫定政権の発足と今後の課題(梁孝盈)
子どもたちの驚きの日々――北朝鮮拉致被害者家族の再会(山崎 彩)
HIV/エイズ問題について――アフリカの現状と課題(福久明日香)

《2004年5月》
マサチューセッツ州が同性愛者に結婚証明書を発行(西村万智子)
駐留米軍によるイラク人虐待事件(名子鮎美)

《2004年4月》
(地域情報)町田市立図書館のホームページで蔵書検索サービスの開始
(出版情報)『インターネットの効率的学術利用』(成文社)の刊行

《2004年3月》
河合秀和先生退職記念講演会に参加して
世紀の大打者ピート・ローズが殿堂入り!?

《2004年2月》
(訃報)ブッシュ大統領の愛犬スポットの死
2004年大統領選民主党予備選挙でケリー上院議員が独走

《2004年1月》

ブッシュ大統領の一般教書演説――イラク戦争の正当性強調
アメリカの新しい宇宙計画――月面基地や火星有人探査を目標
ブッシュ大統領、新移民政策の審議を要請。不法就労移民に3年の合法的資格


《2004年6月》

スーダンの内戦終結と新たな人道上の危機(滝藤奈都子)

 2004年5月26日、1983年以来「終わりのない戦争」と称されたスーダンの内戦が遂に終結した。スーダン政府と同国南部を支配する反政府軍の武装組織、スーダン人民解放軍(SPLA)が包括的和平協定に調印したのである。スーダン内戦は、民族問題や石油資源の利権など、あらゆる複雑な要因が絡み合い、長期化していた。北部のアラブ人(イスラム教徒)と南部の黒人(キリスト教徒)が、21年間もの長期にわたって争ってきたのである。その間に推定200万人が死亡し、国内避難民は約350万人、難民も約50万人に達した。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、約400万人のスーダンの人々に新しい道を切り開くであろう和平協定を歓迎している。しかし、その一方で、西部ダルフール地方では、UNHCRが憂慮する新たな問題が発生している。

 2003年2月、「スーダン自由運動(SLA)」と「正義と平等運動(JEM)」がスーダン政府に対してダルフール地方の貧困や、中央政府の権力と富の独占に反発して武装闘争を開始した。そしていまや、アラブ人主体の政府軍の民兵組織と、黒人主体の反政府勢力の戦闘が激化し、前者による組織的な殺害・略奪・レイプなどの残虐行為が問題となっているのである。

 スーダン政府とSLAなどの反政府組織は、去る4月8日に隣国チャドのンジャメナで45日間の休戦協定に署名していた。しかし、政府がアラブ人民兵の武装解除に同意したにもかかわらず、民間人に対する襲撃がいまなお続いている。アラブ人民兵はジャンジャウィードと呼ばれる武装した遊牧民で、馬やラクダに乗り、村々を焼き打ちにし、財産や家畜などを略奪しているのである。5月22 日にも、ジャンジャウィードは、少なくとも40人の村人を殺害し、5つの村を焼き討ちにした。特に幼い子どもや、女性、老人などが多くの被害にあっている。これまでに約130万人の黒人住民が家を失い、約11万人の難民が隣国チャド東部に流れ込んだ。UNHCRは、「スーダン西部での人道上の危機は現在、世界最悪と言ってよい」と発表した。

 包括的和平協定の調印にもかかわらず、この国の内戦はいまだに続いている。民族問題、石油パイプラインの利権をめぐる対立、水・食料不足、大量難民の発生、深刻な人権侵害など、スーダンが抱える問題はあまりにも複雑かつ多様である。しかし、いまこそ「終わりのない戦争」を終わらせる努力が必要である。このあまりにも悲惨な状況を打開するべく、国連やアムネスティなどの人権団体は、緊急に市民を保護する必要性を呼びかけている。(2004/6/13)

(参考文献:ニック・レイン「スーダン南部に忘れられた戦争」『AERA』1996年12月23日; 中野智明「スーダンの飢餓v『AERA』1998年9月14日; ラドルフ・マーチン「スーダン――終わりのない戦争」『論座』2002年4月;『朝日新聞』電子版2004年5月9日; 「スーダン――襲撃され、家を失い、避難民となった人びと」『アムネスティ・インターナショナル日本ホームページ』;「東アフリカと『アフリカの角』地域――スーダン」『UNHCR Japan ホームページ』; “Sudan: Darfur Needs Action on Human Rights,” Human Right Watch, 3 June 2004 ; “UNHCR hails 'positive step' in south Sudan peace process,” UNHCR Home Page, 2 June 2004)
 

イラク暫定政権の発足と今後の課題(梁孝盈)

 1日、イラク暫定政権が発足し、イラクは民主国家の建設へ向けて新たな一歩を踏み出した。暫定政権はイラクへの主権移譲過程の第二段階であり、来年1月の総選挙までイラクを統治する。

 実権を持たない大統領には、統治評議会現議長であるイスラーム教スンニ派のガジ・ヤワル氏が任命された。副大統領には、シーア派政党「アッダワ党」党首のイブラヒム・ジャアファリ氏とクルド自治区議会議長のロウシュ・シャウェス氏が選出された。政治の実権を握る首相の職に選ばれたのは、統治評議会メンバーであるシーア派のイラク国民合意(INA)書記長、アヤド・アラウィ氏である。閣僚には、シーア派14名、スンニ派7名、クルド人6名、トルクメン人1名、キリスト教徒1名などが選ばれた。統治評議会の任命と同様に、宗派・民族の人口比に応じてポストが配分された形である。暫定政権は1日に解散した統治評議会の人物が多く起用されため、米国色が強いと批判する声もあったが、政治色の薄い実務家も多く含まれている。シーア派の最高権威アリ・シスタニ師は暫定政府のメンバーについて「選挙による正当性を欠いているが、正しいステップだ」との声明を発表した。シスタニ師の容認声明を受けて、「米国が選んだ統治評議会よりはまし」とするイラク国民の意見が多く聞かれる。

 暫定政権の当面の課題の一つは総選挙である。7月に開催される予定の国民会議への取り組み、国勢調査や法整備、選挙管理、投開票のシステムづくりは急務である。国民会議は「ブラヒミ構想」に基づく千人規模で構成され、各県代表者や政党、部族、宗教者の代表者が集まり、イラクの将来を協議する場である。もう一つの課題はインフラの整備である。イラクは未だに停電や断水に悩まされ、電話の復旧も遅れている。その他、失業問題や対外債務の処理など、経済面での課題も山積している。しかし、暫定政権の最大の課題は治安の回復にある。治安回復のめどが立たないイラクにおいて、来年1月に総選挙を実施することには大きな困難が予想される。アラウィ首相は、旧フセイン政権残党の反米闘争を抑えるため、元バース党員にも暫定政権への協力を呼びかけ、元軍人・警察官を再雇用する方針を提案した。

 イラクの再建には、まだ長い時間が必要である。暫定政権は短い政権であるが、さまざまな宗派、民族が絡み合うイラクを統合するための土台作りを期待されている。(2004/6/9)

(参考文献:『読売新聞』2004年6月2日・3日・6日;「Iraq Today's Q&A―イラクの主権と暫定政府」『Foreign Affairs Japan』; “The Cabinet Holds First Session”, As-sabah, 3 June 2004; “Iraq Govt Takes Shape, But Power Unclear”, Iraq Today, 24 May 2004)
 


イラク暫定政権の発足と今後の課題(梁孝盈)

 1日、イラク暫定政権が発足し、イラクは民主国家の建設へ向けて新たな一歩を踏み出した。暫定政権はイラクへの主権移譲過程の第二段階であり、来年1月の総選挙までイラクを統治する。

 実権を持たない大統領には、統治評議会現議長であるイスラーム教スンニ派のガジ・ヤワル氏が任命された。副大統領には、シーア派政党「アッダワ党」党首のイブラヒム・ジャアファリ氏とクルド自治区議会議長のロウシュ・シャウェス氏が選出された。政治の実権を握る首相の職に選ばれたのは、統治評議会メンバーであるシーア派のイラク国民合意(INA)書記長、アヤド・アラウィ氏である。閣僚には、シーア派14名、スンニ派7名、クルド人6名、トルクメン人1名、キリスト教徒1名などが選ばれた。統治評議会の任命と同様に、宗派・民族の人口比に応じてポストが配分された形である。暫定政権は1日に解散した統治評議会の人物が多く起用されため、米国色が強いと批判する声もあったが、政治色の薄い実務家も多く含まれている。シーア派の最高権威アリ・シスタニ師は暫定政府のメンバーについて「選挙による正当性を欠いているが、正しいステップだ」との声明を発表した。シスタニ師の容認声明を受けて、「米国が選んだ統治評議会よりはまし」とするイラク国民の意見が多く聞かれる。

 暫定政権の当面の課題の一つは総選挙である。7月に開催される予定の国民会議への取り組み、国勢調査や法整備、選挙管理、投開票のシステムづくりは急務である。国民会議は「ブラヒミ構想」に基づく千人規模で構成され、各県代表者や政党、部族、宗教者の代表者が集まり、イラクの将来を協議する場である。もう一つの課題はインフラの整備である。イラクは未だに停電や断水に悩まされ、電話の復旧も遅れている。その他、失業問題や対外債務の処理など、経済面での課題も山積している。しかし、暫定政権の最大の課題は治安の回復にある。治安回復のめどが立たないイラクにおいて、来年1月に総選挙を実施することには大きな困難が予想される。アラウィ首相は、旧フセイン政権残党の反米闘争を抑えるため、元バース党員にも暫定政権への協力を呼びかけ、元軍人・警察官を再雇用する方針を提案した。

 イラクの再建には、まだ長い時間が必要である。暫定政権は短い政権であるが、さまざまな宗派、民族が絡み合うイラクを統合するための土台作りを期待されている。(2004/6/9)

(参考文献:『読売新聞』2004年6月2日・3日・6日;「Iraq Today's Q&A―イラクの主権と暫定政府」『Foreign Affairs Japan』; “The Cabinet Holds First Session”, As-sabah, 3 June 2004; “Iraq Govt Takes Shape, But Power Unclear”, Iraq Today, 24 May 2004)
 


子どもたちの驚きの日々――北朝鮮拉致被害者家族の再会(山崎 彩)
                           
 小泉首相は5月22日、日帰りで平壌を訪問し、北朝鮮の金正日総書記と会談した。拉致被害者家族8人のうち蓮池さんと地村さんの家族5人については、即日帰国で合意し、曽我さんの家族3人は近く、第3国で曽我さんとの再会が検討されている。その後、蓮池さん、地村さん夫婦の5人の子どもたちが日本にやってきて、親子での新しい生活が 1週間ほど経った。生まれ育った「祖国」北朝鮮と、突然につきつけられた「日本人」という事実、北朝鮮と日本という2つの国の間で戸惑う子どもたちの様子が、それぞれの父親の記者会見からはうかがえる。葛藤する子どもたちを支えているのは、親子のきずなしかない。どうやって日本での生活になじませることができるであろうか。

 子どもたちの戸惑いの様子はいろいろな場面で見られる。地村さんの子どもたちは、歓迎式典で熱烈な歓迎に困惑気味な様子を見せていた。蓮池さんの子どもたちは、拉致に関して「どう思うか」と問われ、無言のまま困惑した表情を浮かべた。食事の問題もある。和食の朝食を取ったときの反応は「まずい」であった。北朝鮮で食べていたものとは違い、甘すぎて口に合わないのである。両家とも23日、子どもたちに日本名を伝えたが、日本名に実感がわかないらしく、蓮池さんはその後、朝鮮名で子供を呼ぶことにした。

 子供たちは、多くの友達を北朝鮮に残してきた。蓮池さんの子どもたちは「(北朝鮮に戻らない)親に反発もあったが、自分で消化して精いっぱいやってきた。友達といたから気苦労はなかった」という発言をしていた。それだけに、友達への未練がないといえば嘘になる。連日、マスメディアでは、拉致被害者家族の「帰国」と報道されている。しかし、子どもたちにとって本当に帰国といえるのか、それすら分からない複雑な状況がある。子どもたちの驚きの日々が続いている。(2004/6/2)

(参考資料:『日本経済新聞』2004年5月22日;『読売新聞』5月24日・25日・26日;『朝日新聞』5月27日・29日)
 


HIV/エイズ問題について――アフリカの現状と課題(福久明日香)

 2004年現在、世界のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者の総数は推定4000万人である。そのうちの約2800万人以上が、アフリカのサハラ砂漠以南の国々に集中している。南アフリカ共和国は、530万人のHIV感染者がおり、世界で第1位の感染者数である。総人口が4500万人なので、割合としては8.5人に1人が感染していることになる。また、アフリカ南東部の国ジンバブエでは、15歳から49歳の女性のほぼ2人に1人がHIVに感染している。今やエイズはアフリカの人々の主要な死因となっており、平均寿命が極端に短縮された国や、社会構造自体が崩壊の危機に瀕している国まで出てきている。

 なぜアフリカでHIV感染が深刻化してしまったのであろうか。その最大の要因は、貧困とそれに付随する教育・知識の不足にある。イギリスの雑誌『エコノミスト』によると、「今や、すべてのアフリカの飢餓には、エイズが関係している」という。栄養状態の悪い人たちは、免疫力が弱いためHIVに感染するとすぐにエイズを発症しやすい。発症して働けなくなると、食料の生産が追いつかなくなり、死んでしまえば子供たちに農作業の方法を伝えられない。アフリカでは、このような病気と飢餓の悪循環が続いている。また、エイズに関する情報やサービスを十分に得られず、いまだにこの感染症についての知識がない青少年もいる。教育は、個人がHIV感染から身を守るための強力な武器になるが、アフリカでは少なくとも毎日1人、エイズによって教員を失っているため、教育の質が低下し、結果としてエイズは子供たちから教育をも奪っていることになる。そして、HIV/エイズについての知識がないことからくる、偏見や差別も起こっている。

 この問題について、アフリカ諸国だけで対処していくというのは、もはや不可能である。先進国は、治療薬を世界共通の公共財として、安く提供できる体制を確立することが必要であり、そのための資金や技術面での提供を怠ってはならない。アフリカ諸国は、発症後の治療を強化するだけではなく、感染の予防を同時に行う、治療、教育、予防を組み合わせた対策を実行していくことが重要である。アフリカのHIV/エイズ問題は、貧困をはじめとする様々な問題を含んでいるため、簡単に解決することはないであろう。だからこそ、国際社会が協力してこの問題と取り組んでいかなければならない。(2004/6/1)

(参考文献:原田信志『エイズをどう救うか――研究と治療の最前線』中央公論社、1997年; ベルナール・セイトル、『エイズ研究の歴史』塚田隆訳、白水社、1998年; 宮田一雄『エイズ・デイズ――危機と闘う人びと』平凡社、2002年、「HIV/エイズと貧困」国連人口基金『世界人口白書2002――人々・貧困・ひろがる可能性』2002年; 「怖いエイズ、急がれる対策」『東奥日報』電子版、2003年12月27日; "Help at last on AIDS," Economist, November 29-December 5, 2003, p.9; "Could AIDS explode in India?" Economist, April 17-23, 2004, pp.21-23)


マサチューセッツ州が同性愛者に結婚証明書を発行(西村万智子)
 
 5月17日から、アメリカのマサチューセッツ州は同性愛者に対する結婚証明書の発行を始めた。アメリカでは、ヴァーモント州が2000年に「シヴィル・ユニオン」という事実上の同性婚を法制化し、同性愛者が社会保障などの面で結婚と同等の公的保護を受けられるようにしたことを例外として、同性婚を法律で禁止している州が多い。最近では2004年2月にサンフランシスコ市が同性愛者に結婚証明書を発行したが、翌月にはカルフォルニア州最高裁に発行停止を命じられた。こうした事情において、この日、州都ボストンだけで数百組の同性愛者が結婚を届け出た。

 今回、マサチューセッツ州で結婚証明書が発行されたのは、昨年11月の州最高裁の判決を受けてのことである。その判決は、同性愛者に対する結婚証明書の発行を拒否して訴えられた州当局に対して、結婚の権利の禁止は違憲であるとし、解決策を180日以内に行うように命じたものである。これに反発した州議会は、今年3月、同性婚を禁止する州憲法修正案を可決した。もしその憲法修正が2006年11月に予定されている住民投票で可決されれば、州最高裁の命令に基づく同性婚の認可は廃止されることになる。

 連邦レヴェルでは、1996年に成立した結婚防衛法が同性婚の障害になっている。同法は、合法的な結婚を男女間のものと規定している。同性婚については、これまで主に宗教右派の団体が強い反発を示してきた。2004年2月、ブッシュ大統領は大統領選挙を控えて、同性婚を禁止する憲法改正を支持する態度を示した。一方、民主党大統領候補のケリー氏は、「シヴィル・ユニオン」を支持しながらも、カトリック教徒らしく「結婚は男女のもの」とし、同性婚を禁じる憲法改正に反対の立場を示している。(2004/5/28)

(参考資料:『朝日新聞』1996年7月13日、2003年11月19日、2004年2月5日、2月27日、3 月4日、5月19日; バーバラ・カントロウィッツ「もう結婚にルールはない?」『ニューズウィーク』日本版、2004年3月、36-39頁)


駐留米軍によるイラク人虐待事件(名子鮎美)

 イラク駐留米軍がイラク人捕虜を虐待した証拠写真が、2004年4月28日、米CBSテレビで放映された。これによって、米軍のイラク駐留に対する批判が各方面から噴出している。アルジャジーラなど、中東のマスメディアもこれを伝え、反米感情は高まる一方である。

 「2003年10月から12月にかけて、アブグレイブ刑務所では数々の露骨でわいせつな犯罪的虐待が繰り広げられた」。アントニオ・タグバ区軍小将が作成した内部報告書はこう指摘している。暴力や性的虐待など、把握しているだけで13種類の虐待があったという。それらの虐待の狙いは捕虜からの情報収集にあり、軍情報機関や中央情報局(CIA)の意向にそった行為であったと、虐待にかかわった女性兵士は証言している。国防総省の方針や軍の上層部の考え方が、虐待につながったという可能性は、ほかにも指摘されている。しかし、米軍上層部は、この問題について「組織的だった証拠はない」と否定し、虐待にかかわった米兵7人を処罰した。

 事件の発覚当初、イラク国内やアラブ諸国では、ブッシュ大統領から謝罪の言葉がないことに強い反発が起こっていたが、6日になってようやく、大統領が虐待について「すまないと思う」と、公に謝罪した。そして10日、ブッシュ大統領はラムズフェルド国防長官らと協議後、虐待問題の全面的解明を行うと強調し、事件の再発防止に努めることを確約した。もっとも、ブッシュ大統領は、「米国の安全を守り、世界に民主主義を広げるということに変わりはない」とも述べている。基本的には今までと変わらぬ姿勢でイラク復興に携わる構えである。しかし、この事件によって、アメリカ政府とイラク国民の関係がまた一つ悪化したことは明らかであり、関係の修復には相当な年月を要することになるであろう。(2004/5/24)

(参考資料:『読売新聞』電子版、2004年5月4日、7日、8日、11日、14日、15日)
 

《2004年4月》

(地域情報)町田市立図書館のホームページで蔵書検索サービスの開始

 勤務先の大学がある市のローカルな情報であるが、町田市立図書館が、今月からインターネットの蔵書検索サービスを開始した。同図書館は蔵書数が比較的に豊富で、学生にも大いに活用して欲しい施設であるが、これまでは、インターネットで蔵書検索ができないのが玉にきずであった。検索画面のアドレスは<http://www.library.city.machida.tokyo.jp/opac/index.html>。近隣の学生に是非利用して欲しいと思う。 (2004/4/8)
 


(出版情報)『インターネットの効率的学術利用』(成文社)の刊行

 拙文「インターネット時代の論文の書き方」が掲載された書籍、杉田米行編『インターネットの効率的学術利用』(成文社)がつい先日刊行された。「インターネット時代の論文の書き方」は、現在の若い世代の読者、特に大学生と、卒業論文を書かずに修士課程に進学した大学院生を念頭に置いて書いた文章である。

 論文の書き方についてはすでに何冊も本が出ているし、論文の書き方はインターネットの導入以前と基本的に変わらないはずだという考え方もある。しかしながら、現在の若い世代から見れば、インターネットは調査・研究に際して当然のように用いる道具となっており、インターネットの活用法が説明されていない古い時代の論文作成マニュアルは、若い入門者にとっての実際的な手引きとはいえなくなっている。また、それにもかかわらず、インターネット時代にふさわしい適当な手引き書がなければ、大学教育の場においても、インターネットの検索結果を無批判に用いるような安直なレポートが乱造されるおそれがないとはいえない。

 拙文では、そうした問題意識を背景としながら、インターネットを使えばすぐに論文が書けるかのような安直な発想を退け、先達の教えを十分に踏まえながら、研究のためのインターネットの活用術を含めた論文の書き方を説明しようと試みた。(2004/4/8)
 

《2004年3月》

河合秀和先生退職記念講演会に参加して

 今日、3月6日(土)午後2時から午後3時30分まで、学習院百周年記念会館大ホールで河合秀和先生退職記念講演会が行われた。河合先生の代表的な業績としては、『現代イギリス政治史研究』『政党と階級』『チャーチル』『レーニン』『トックヴィルを読む』『比較政治・入門』『現代西ヨーロッパ政治史』などの著書や、『バーリン選集』、ホブズボーム『20世紀の歴史』などの訳書がある。私は厳密には河合先生の直弟子ではないが、大学・大学院時代に教えを受けた一人であり、この機会に、備忘録をかねて河合先生との想い出などについて書き残しておきたい。

 河合秀和先生は、東京大学法学部出身、福田歓一ゼミの一期生であり、丸山真男、岡義武、江口朴郎先生などの薫陶を受けた。「河合君の名前は学部時代から轟いていた」と、その当時東大の助手であった斉藤孝先生から聞いたことがある。その後、河合先生は、東大大学院に進学し、オックスフォード大学に留学してアイザイア・バーリンらの指導を受け、アーノルド・トインビーその他の著名な学者たちと面識を得たという。私のように学界の末席にいる若手研究者からすると、まるで異次元の話を聞いているようである。

 オックスフォードから帰国後、河合先生は、学習院大学で比較政治の授業を担当するようになった。以来37年間、河合先生の教えを受けたものは皆、先生がよい学者であると同時によい教師であったと異口同音に述べる。河合先生は、他のどの教員よりもゼミや講義を大切にしていたし、ふだんから学食で学生たちと気さくに食事をしていたし、ラグビー部の顧問として若い頃には学生と一緒にグラウンドで泥にまみれていたという話も聞いている。ただ、河合先生がなぜ「よい教師」であったかといえば、私の場合はそうしたこととはほとんど関係がない。私にとって、河合先生は何よりも怖ろしい存在であった。そして、「畏敬の念」を抱かせてくれたことが、本当に有り難かったのである。

 私は、いまだかつて一度も河合先生に怒られたり、やりこめられたことはい。しかし、河合先生は、どんなにたわいもない学生の意見でも、そこからひとかけらの真実を見つけだして議論を膨らませることができたので、もしその気になったら、私のことなどいつでも完膚無きまでに論駁できるに決まっている。さらにいえば、私が何か一言でも発したら、その一言から私の無知や愚鈍さをすべて見透かしてしまう圧倒的な知性を持っている、とさえ感じられた。そしてそう考えると、しょせん悪あがきなのだが、私は、先生の前で見当違いのことをいわないように、馬鹿は馬鹿なりに努力するしかないと、ひそかに発奮して勉強したのである。

 河合先生は「あらゆる権力を疑え」と教えたのであり、教師のことも疑うように教えてくださった。しかし、私は、学生はたとえ100人の教師のうち99人を疑い、場合によっては軽蔑して見下すことが許されるとしても、少なくとも1人の教師を尊敬できなければ、真剣に勉強することが難しいのではないかと思う。下手をすると自分はそれほど努力しなくても一人前にやれると思い上がってしまいそうな若い時期に、素直に「畏敬の念」を抱かせてくれる知性と出会えたことは、私にとってかけがえのない財産であった。今日も緊張してうまく話せなかったが、学恩に心から感謝を申し上げたい。(2004/3/6)
 


世紀の大打者ピート・ローズが殿堂入り!?

 3月2日、民主党予備選挙のスーパー・チューズデイは、予想どおりケリー氏の勝利に終わった。その話題はまた後日に譲るとして、同日ニューヨークタイムズ(電子版)は、一つの意外なニュースを伝えている。ピート・ローズ(62歳)の殿堂入りが決まったという話題である。

 日本の名球会の会員資格が「2000本安打以上」、長嶋茂雄の生涯安打ですら2471安打であるといえば、大リーグで4256安打という彼の記録が、いかに驚異的なものであるかがわかるであろう。と言っても、ピート・ローズは、レッズ監督時代に野球賭博にかかわったかどで、89年にコミッショナーから永久追放処分を受けている。今年1月には自叙伝を刊行して、みずから賭博への関与を認めたばかりである。ところが、何ともおかしな話で、かれは、全米最大のプロレス団体WWEからプロレス殿堂入りを認められたのだ。まったくばかばかしいことだが、いかにもアメリカらしい、懐の深さを感じる話である。

 ピート・ローズは、プロレス界最大の祭典「レッスルマニア」に1998年から2000年まで3回登場し、ニワトリの扮装をして現れたり、2メートルを越える巨漢レスラーに担ぎ上げられて脳天から真っ逆さまに落とされる(脳天杭打ち)などのパフォーマンスで全米の観客を大いに楽しませた。今回の殿堂入りは、その功績が認められたためである。2日付のニューヨーク・タイムズ紙によれば、WWEオーナーのビンス・マクマホン氏が脳天杭打ちのパフォーマンスを持ちかけたとき、ピート・ローズは、「そうすればいいの? それでお客さんは盛り上がるの?」と言って、すぐに引き受けたのだという。

 13日にニューヨーク市内のホテルで式典が行われ、14日に「レッスルマニア20」でファンにあいさつする予定であるが、きっとその席でも、ピート・ローズは、巨漢レスラーによって文字どおり「手荒い」歓迎を受けるにちがいない。しかし、そのようにして、松井やイチローも遠く及ばないであろう世紀の大打者、ピート・ローズが、過去のあやまちを一生引きずって日陰で暮らすことなく、全米の国民にふたたび愛されることになるのである。(2004/3/3)

(参考資料:New York Times, March 2; nikkansports.com 3月3日; WWE Hall of Fame
 
 

《2004年2月》

(訃報)ブッシュ大統領の愛犬スポットの死

 2月21日、ブッシュ大統領の愛犬「スポット」(イングリッシュ・スパニエル)が死亡した。享年14歳であった。ブッシュ家には、ほかにもスコティッシュ・テリアの「バーニー」、猫のインディア、牛の「オフェリア」がいるが、スポットは「スポッティーのホワイトハウス・ツアー」というホームページでホスト役を務める人気者であった。

 研究上、ホワイトハウスのホームページを見る機会が多いが、これからスポットの記事が読めなくなるのは残念だ。テニスボールで遊ぶのが好きで、プールに落ちてしまったボールをプールサイドからのぞき込んでいる様子を映した写真「飛び込むべきか、飛び込まざるべきか」は傑作であった。結局、その時スポットは、プールへは飛び込まなかったようだ。私は、その写真を見たとき、ひそかにブッシュ大統領にもあえて飛び込まない勇気が欲しいと思ったものだ。

 なお、スポッティーはこのところ病気がちで発作が続いていたため、獣医の勧めに従って安楽死させたという。どうでもよいことだが、ブッシュ大統領は、キリスト教右派の支持を取りつけるために人工妊娠中絶には反対の立場を示しているが、愛犬の安楽死は認めているらしい。このホームページの警備を務める実家の老犬タロー君のことが少し心配になったので、春休み中に帰省しようかと思う今日この頃である。(2004/3/3)

(参考資料:ロイター、共同、毎日新聞、2月22日ほか)


2004年大統領選民主党予備選挙でケリー上院議員が独走

 2004年大統領選挙は、11月2日に一般投票が行われる予定で、現職のブッシュ大統領(共和党、57歳)に対する民主党の大統領候補の指名争いのために、先月から予備選挙が始まっている。事前の評判としては、ハワード・ディーン(前バーモント州知事、55歳)とウェズリー・クラーク(59歳、元NATO連合軍最高司令官)が注目を集めたが、本命といえるほどの候補者はいなかった。そうした中で、先月19日に行われた緒戦のアイオワ州党員集会では、ジョン・ケリー上院議員(60歳)が1位、ジョン・エドワーズ上院議員(50歳)が予想外の健闘で2位につける結果となった。その後、ケリー議員は、27日のニューハンプシャー州予備選挙で圧勝して勢いをつけ、緒戦の山場とされた2月3日の「ミニ・スーパーチューズデイ」(アリゾナ、デラウェア、ミズーリ、ニューメキシコ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスカロライナの同日選挙)でも7州中5州を制し、民主党候補の指名獲得をほぼ確実にした。

 ケリー氏は、10日に行われたテネシー、バージニア両州の予備選でも勝利し、現時点では14州中12州を制したことになる。2位にはエドワーズ議員、3位にはディーン氏が続いている。こうした戦況の中で、ゲッパート上院議員、リーバーマン上院議員は早々と選挙戦からの撤退を表明し、13日には有力候補の一人と見られていたクラーク氏も撤退を表明、ケリー氏への支持を明らかにした。

 選挙の前哨戦では「反イラク戦争」を掲げたディーン氏が最大の注目を集めたが、いざ予備選挙が始まると、ケリー氏の独走状態となっている。それは、選挙戦が始まり、民主党の迷える有権者たちが現職のブッシュ大統領に勝てるのは誰かを現実的に考えたとき、ヴェトナム戦争の英雄で、従軍体験を背景にした現実主義的な安全保障・外交政策を掲げるケリー氏に期待が集まった結果であると見られている。

 ケリー氏はコロラド州デンバー生まれで、マサチューセッツ州育ち、エール大学を卒業した後、海軍の警備艇長としてベトナム戦争に従軍した。除隊後、反戦活動に転じ、検事、マサチューセッツ州副知事を経て、84年に連邦上院議員に初当選した。CNN、USAトゥデイ、ギャラップ社が2日に発表した世論調査では、もし現時点で投票するならという質問に対して、ケリー氏という回答が53パーセントで、ブッシュ大統領の46パーセントを7ポイントも上回った。

 今後、予備選挙は3月2日のスーパー・チューズデイ(ニューヨーク、カリフォルニアなど10州の同日選挙)と9日の第二のスーパー・チューズデイ(フロリダ、テキサスなど4州の同日選挙)で最終的な山場を迎える。2004年大統領選挙の主な日程は以下の通り。(2004/2/14)

  1月〜 6月 予備選挙
               ↓       3月2日・9日にスーパー・チューズデイ
 7月〜 9月 全国党大会(民主党 7/26-29、共和党 8/30-9/2)
               ↓       一般選挙に向けた選挙戦
        ↓    テレビ討論会(9/30、10/8、10/13)
    11月 一般投票(11/2)
          ↓    選挙人投票(12/13)
2005年 1月 大統領就任式(1/20)
 

(毎日新聞1月20日・2月3日・11日・13日、共同通信2月4日など)
 


ブッシュ大統領の一般教書演説――イラク戦争の正当性強調

 20日、ブッシュ大統領は、議会の上下両院合同会議で一般教書演説を行った。テロとの戦いの実績を強調し、今後もその戦いを継続するとともに、中東全域に民主主義を広げるという政府の方針を再確認した。ブッシュ大統領はフセインの拘束によって一時支持率を高めたものの、大統領選挙の予備選挙が開始されたこの時期に、国内では財政赤字や失業などの問題を抱え、再び支持率の低下に悩まされている。そうした中で、今回の一般教書は、国民の支持が比較的に高い分野である「テロとの戦い」での成果を強調する内容となったと見られる。

 現在、アメリカでは、イラク戦争の理由とされた大量破壊兵器が見つかっていないことから、イラク開戦の決断について批判が高まっているが、ブッシュ大統領はこの演説の中で、「行動しなければ、イラクの大量破壊兵器計画は今も続いていた」「フセイン体制のない世界はより安全である」と述べて、みずからの判断の正しさを強調した。そして、米中枢同時テロ事件から2年以上が経過し、アメリカへの攻撃がないので危険は去ったと思いたい誘惑に駆られるのは理解できるが、それは誤りだと述べて、テロとの戦いを継続する必要性を強調した。これに対して、野党民主党は、ブッシュ政権が海外で無謀な政策を追求し、同盟国との関係を悪化させ、アメリカ国民にイラク戦のコストと多くの犠牲を強いることになったと批判している。

 内政面では、ブッシュ大統領は、「インフレと金利は低水準にあり、輸出は拡大、生産性は高水準で、雇用も改善している」と述べて、減税効果が現れて、景気の回復が順調に進んでいることをアピールした。しかし、現在のアメリカ経済の財政状況と雇用状況は、決して健全とはいえない。そこで、民主党は、ブッシュがアピールする景気回復は企業や金持ちだけを益するもので、将来の世代に赤字を押しつけ、雇用に結びつかないものであるとの批判をなげかけている。たとえば、現在、民主党の大統領候補指名争いに加わっているディーン前バーモント州知事は、「一般教書は、ホワイトハウスのバルコニーやジョージ・ブッシュに献金する最も金持ち連中のスイートルームからは、バラ色に見えるかもしれない」と批判した。また、同じくケリー上院議員は、「2つの異なる世界があると思う。大統領が語っている世界と米国民が住んでいる世界だ」とし、「最高経営責任者(CEO)の給料は上昇し、ウォール街の企業収益は増加しているが、平均的な米国民の稼ぎは1ドル当り3セント増えたにすぎない」と指摘した。前日(1月19日)にアイオワ州の党員集会が開かれ、11月の大統領選挙に向けて両党の動きが活発化してきたことがうかがわれる。(2003/1/27、28rev.)

(参考資料:一般教書(翻訳、原文)、時事通信1月21日、毎日新聞1月21日、ロイター1月22日)
 


アメリカの新しい宇宙計画――月面基地や火星有人探査を目標

 14日、ブッシュ大統領は、ワシントンの米航空宇宙局(NASA)で演説し、新しい大規模宇宙計画を発表した。主な内容としては、長期滞在を想定した有人月面探査の再開や火星への有人飛行が含まれる。しかし、現在、アメリカ政府は巨額の財政赤字を抱えており、計画全体で最終的にいくらかかるかわからないこの計画には、すでに批判の声もあがっている。時事通信によれば、ワシントン・ポストとABCテレビの最新世論調査では、反対が62%と、賛成(35%)を大きく上回り、新宇宙計画が国民の支持を得ていないことが明らかとなった。

 ブッシュ大統領は新宇宙計画による科学技術の進歩が医療面などにも反映されることを力説し、理解を求めている。しかし、ロイターによれば、新宇宙計画は、軍事・経済・戦略面での優位性確保のため、宇宙をも管理するという政策の一環であるとの見方が広がっている。実際、ラムズフェルド国防長官は、以前から宇宙防衛の必要性を強調しており、合衆国宇宙司令部が宇宙における覇権の確立に熱心であることはこのホームページでも2002年2月の記事で説明したとおりである。アメリカは、国連が推進する宇宙の非軍事化に抵抗する唯一最大の勢力となっており、1999年時点で、全世界の宇宙軍事支出の実に95%を占めている。ブッシュ政権の新宇宙計画をファンタジーのように考えるとすればそれはあまりに純朴であるといえよう。(2004/1/27)

(参考資料:毎日新聞1月15日、ロイター1月18日、時事通信1月20日)
 


ブッシュ大統領、新移民政策の審議を要請。不法就労移民に3年の合法的資格

 7日、ブッシュ大統領は、新しい移民政策について演説し、メキシコなどから不法入国している労働者に対して、3年間の期限付きで合法的就労資格を与える方針を発表した。新方針によれば、不法移民は雇用主の就労証明があれば、3年間の期限で最低賃金制度など法的な保護を受けられるようになる。大統領は、その資格は市民権の付与につながるものではないと強調したが、3年後にいったん帰国を求められた後も資格を更新・延長する機会は残されている。

 この政策が大統領選挙を控えたこの時期に発表されたことには、急増するヒスパニック票の取り込みという狙いがあると見られる。そもそも、アメリカにおいては1930年代以来、黒人をはじめとするマイノリティは、民主党の支持基盤を形成してきたが、90年代の民主党の中道路線は、共和党陣営につけいるすきを与えた。特に、2000年選挙では、ブッシュ陣営が「思いやりのある保守主義」を唱えて、弱者にもやさしい、新しい共和党のイメージをつくり、ヒスパニックなどの取り込みにも力を入れ始めた。今回発表された新移民政策は、そのような流れの中で把握されるべきものであろう。

 ただし、アメリカの不法滞在外国人は、推定800万人とも言われ、実務的な見地から見て、その全体的な把握には困難もある。また、この新制度の適用を求めて「駆け込み密入国」の増加を指摘する声も出ており、共和党内からも批判の声があがっている。(2004/1/27)

(参考資料:毎日新聞1月7日、読売新聞、1月8日)


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