国際政治・アメリカ研究

壁一面の本棚の作り方

 
 3.本棚の組立

  さて、いよいよ組立作業である。簡単にいえば、ホームセンターで切ってもらった板を木工ボンドと木ねじで接合すればよい。繰り返しになるが、ここで大切なのは、手先の器用さではない。大切なのは、組立のプロセスが事前にイメージされていること、つまり、どういう道具を使って、どういう段取りで作業を進めるか、予め細かな工程が理解されていることである。この点についてイメージがしっかり出来ていれば、あとは流れ作業のように機械的に運ぶのであり、体力や器用さのちがいによってスピードに多少の差は出るにせよ、早晩壁面本棚は完成するだろう。

(a)作業場の確保と道具類の準備
 まず作業場を確保し、室内の場合は床を傷つけないよう新聞紙などを敷き詰め、また、大鋸屑やボンドが飛んでも大丈夫なようにビニールシートなどを敷くとよい。次に、電動工具を扱う練習をかねて、棚板の端切れで作業台をつくりたい。ここでいう作業台とは、おもに棚板にドリルで穴をあけるときに、まちがって床まで穴をあけないようにするための小テーブルのことである。ドリルが床に届かないよう高さが70ミリ以上あれば上等である。手先を保護するために軍手などを用意する必要はない。間違って電動工具に絡まるとそれこそケガのもとであり、素手の方がむしろ安全だといえる。ドリルや紙ヤスリを使うときはおが屑が飛ぶので、喉のためにはマスクを着用した方がよい。






 新聞紙、ビニールシート、電動工具(ドリル&ドライバー)、作業台、マスクの他に、組立に際して必要な道具は、バケツと雑巾である。板の接合部分からはみ出した木工ボンドや指に着いたボンドを拭うには、ティッシュペーパーなどでは不十分であり、ぬれ雑巾こそが威力を発揮する。そして、もう一つ、ぜひとも用意しておいて欲しい便利な道具は、棚の内寸の幅を持つ作業用の板である。ホームセンターで材料の板をカットするとき、端切れを使ってそれぞれの棚の内寸にピッタリ合うサイズの板きれを2枚ずつつくってもらうとよい。これがあれば、板と板の接合部分の位置をピッタリ合わせる作業が劇的に改善され、助手を一人雇うのと同じくらいの効果が得られるであろう。

(b)ケガキ線
 さて、実際の組み立て作業に入る前に必要な工程は、材料となる板にシャープペンで設計図どおりのケガキ線を引くことである。本棚は組み立ての工程で微妙なズレが蓄積されることが予想されるが、だからこそケガキ線は厳密に引いておきたいところである。しかしながら、私の場合は、ケガキ線を引くのに定規をほとんど使用しなかった。厳密に言えば、引いたケガキ線のズレを確認するために定規を使ったが、ケガキ線を引くときには定規を使用しなかった。定規を使う代わりに、先に述べた棚の内寸サイズの作業用の板を使って、ケガキ線を引いたのである。というのは、私の方法では、実際の組立の際に、ケガキ線を見ると同時にその作業用板でサイズを合わせることになる。そこで、数字上の厳密さよりも作業用の板の実寸との誤差の方が問題となりうるので、ケガキ線自体を作業用の板を使って引いてしまった方がよいのである。







(c)下穴
 続いて行う作業は、側板の木ねじをとめる箇所に電動ドリルで下穴をあける作業である。後にドライバーを使う作業で、側板を貫通して棚板部分まで木ねじをねじ込んでいくことになるが、その前に下穴をあけるのは、第一に木ねじの進路を正しく誘導するためであり、第二に側板・棚板が圧力で割れないようにするためである。側板と棚板の接合部分には、それぞれ2本の木ねじを締めることになる。ケガキ線を引くときに予め適当な箇所に穴の位置を書き込んでおくとよいだろう。そして、いよいよ電動ドリルを使って側板に下穴をあけるわけだが、このとき使うドリルのサイズは、木ねじと同一か若干大きめのものを選ぶのがコツである。私の場合、太さ3.8ミリの木ねじを使用するので、側板の下穴用のドリルは太さ4ミリのものを選んだ。あとは、作業台のうえに側板を載せて、印を書き込んだ箇所をめがけて、側板だけ全部の下穴をあけてしまえばよい。この作業は、さほど神経質になる必要はないが、おが屑が気になる人はこまめに掃除機で吸い取りながら作業をするとよいと思う。

 棚板にあける下穴は、それとは別に細いドリルで、一つ一つ慎重に位置を確認しながらあけていく。サイズの目安は、木ねじよりもコンマ8小さければ、板をしっかりと締め上げることができるはずである。私の場合、太さ3.8ミリの木ねじを使用するので、棚板の下穴用のドリルは太さ3ミリのものを選んだ。あとで、ドライバーを使って木ねじを締め上げると、木ねじの溝が棚板の中に食い込んでいき、最後に木ねじの頭が側板を棚板に強く引きつけることになる。木ねじの締まり方はそのような構造であるので、側板には木ねじの溝を食い込ませる必要性がなく、むしろ位置を調節しやすいように大きめの下穴をあければよいのである。

(d)棚板の接合
 下穴をあけた側板に棚板を接合していく手順としては、まず仮に側板と棚板の位置をあわせて、3ミリのドリルを使って側板の下穴をくぐらせるようにして側板の表面に小さな穴をあける。そのうえで、棚板を扱いやすい向きに立てて固定し、印のついた位置から必要な深さまでドリルで穴を掘ればよい。続いて、木工用ボンドを接着面に塗り、もう一度側板と棚板の位置をあわせて、今度は電動ドライバーを使って木ねじを最後までしっかりと締め上げる。

 一枚の棚板(あるいは天板)の片側を側板に接合できたら、次はもう片側を別の側板に接合するのではなく、二枚目、三枚目の棚板を同じ側板に接合していき、巨大な櫛のような状態に加工していく。その際、接合位置をピッタリと合わせ、なおかつ側板と棚板が直角になるようにしたいのだが、このときに威力を発揮するのが、棚の内寸にピッタリ合うサイズに切断した二枚一組の作業用の板きれである。これをいま接合したばかりの棚板と次に接合したい棚板の間に二箇所噛ませれば、棚の内寸はピッタリ合うし、棚板の直角も保たれる。誠に原始的な道具だが、便利であることこの上ない。
 
 






 こうして、片方の側板にすべての棚板が固定され、巨大な櫛のようなものが出来上がると、棚板のついた側板を床に置いて棚板を上向きにし、その上から蓋を閉じるようにもう一枚の側板を仮に置いてみる。そして、端から順番に棚板と側板の位置を調節しながら3ミリのドリルを使って棚板に下穴をあけていく。一枚の棚板に下穴をあけたらそれを木ねじで仮止めし、次の棚板に下穴をあける。こうして、すべての棚板に下穴をあけたら、仮止めしていた木ねじを全部外して、側板を脇へ置き、すべての棚板の接着面に木工ボンドを一気に塗り、その上にもう一度側板を載せて、今度は順番に最後まで木ねじをしっかりと締め上げていく。これで棚板の接合は完璧である。






(e)背板の接合
 最後に背板を貼る作業だが、まずは具合を確かめるために、寝かせた本棚のうえに仮にベニヤ板を置いて、四隅をあわせてみる。本棚の四隅はベニヤの四隅ときっちり合うだろうか。もしこれが合わないときは、本棚が歪んでいる(さもなくばベニヤが歪んでいる)ので問題である。その場合は、直角がとれていない箇所を探し、原因を突き止めて修正した方がよいだろう。許容できる範囲のズレであれば、そのままベニヤを貼ればよい。

 これには木工用ボンドと釘を用いる。釘だけでは弱いので、必ず木工用ボンドも塗るようにしたいものである。ただし、背板については接着面が大きいので、人によってはボンドを指で塗るのが面倒に思われるかもしれない。その場合には、歯ブラシを使って木工用ボンドを塗るという手段もある。いずれにせよ、ここはボンドが乾かないように急いで作業を進める必要がある。

 ボンドを塗り、背板を載せたら、四隅をきちんとあわせてから、金槌で釘を打っていく。このとき大切なのは、背板が本棚の足(側板)よりも下に出っ張らないように注意することである。背板が下にはみ出した状態で釘でとめてしまうと、本棚を立てたときにガタツキの原因となるからである。背板をとめる釘は比較的に小さいものを使うが、慎重に叩くとかえって曲がってしまうので、リズムよく思い切って打ち付けた方がよい。本棚のフレーム部分については、位置を外すことはないと思うが、問題は本棚中央の棚板部分と背板を釘でとめるときである。このときは、本棚の裏の背板からでも棚板の高さがわかるように、両側から木ねじの位置を確認して余っている木の棒などを仮置きしながら作業を進めるとよい。
 
 

はじめに1.本棚の設計2.本棚づくりの道具と材料

3.本棚の組立4.本棚の塗装おわりに








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