壁一面の本棚の作り方
2.本棚づくりの道具と材料
設計図が描けたら、次のステップは道具と材料の入手である。 材料の板はホームセンターでカットしてもらえるので、基本的には鋸は不要である。しいていえば、壁のコンセントの部分だけ背板をなくそうとしたりすると、鋸が必要となる。その他、必要な道具といえば、棚板を組み立てるための電動工具(ドリル&ドライバー)と木工ボンド、背板を張るための金槌、塗装用の紙ヤスリとハケくらいだろう。 電動工具についていえば、私は当初Bosch社製を買うつもりであったが、ホームセンターの相談係の推薦でナショナル製の「マイ・ジョイ」を1万円程度で購入し、それに装着するドリルセットとドライバーセットを追加購入した。私自身は、どの会社の商品がよいかを比較検討したわけではないが、「マイ・ジョイ」は十分に操作しやすかったし、パワーもあった。一つだけアドバイスしたいのは、所詮趣味の日曜大工だからとか、自分は非力だからという理由で、サイズが小さかったりパワーの弱い商品を購入すべきではないということである。実際、下穴をあける数、木ねじをとめる数が多くなると、電動工具のパワーが強いことは本当に有り難く感じられるはずである。
木工ボンドは、分量の他は、通常のものと即乾性のもののどちらを選ぶかということだけが問題だが、私は素人は作業時間の余裕を見るという意味で通常のものを選んだ方が無難だと思う。逆に言えば、即乾性だと、ボンドが乾くまでに接合位置を微調節して木ねじをとめるという作業が時間的にきつくなる。 塗装用の紙ヤスリは意外と重要で、それを使わないと塗料を丁寧に塗ったところで絶対に綺麗には仕上がらない。極言すれば、塗装というのは、むしろ塗料を塗るまでのヤスリがけ次第だと言えなくもない。ヤスリがけは、塗料を最初に塗る前、二度塗りする前、三度塗りする前、というように、塗料を塗る前に必要になる。パイン集積材の場合、板の表面(切断面)が最初からかなり綺麗なので、あまり荒い紙ヤスリは必要でない。通常は180番当たりから始めるようだが、仕上げ用の320番だけあれば事足りると思う。念入りにしたい人は、240番、320番、400番と徐々にきめ細かくしていく方法もある。 塗装用のハケは、7センチ程度の幅広のものと、3センチ程度の小さいものがあるとよい。棚板部分は7センチ、木口部分は3センチというように使い分けるのである。実際に本棚に本を詰め込むと、本棚の見える部分はほとんど木口だけということになる。そう考えると、木口専用の小さいハケを購入するのも懲りすぎだとは言えないはずである。 次に、材料についてであるが、棚板のパイン集積材、背板のベニヤ板、棚板をとめる木ねじ、背板をとめる釘、塗料、完成後の本棚同士を接合する金具、が必要である。 私が選んだ棚板は、ラジアタパイン集積材である。これは、偶然特売品であったこともあるが、メルクシパイン集積材よりも安価で、ランバーコア材、シナ合板、赤松集積材よりも強度があると考えられたためである。ちなみに、私の設計した本棚を1本(上下2段)つくるのに必要なパイン集積材の分量と価格は以下のとおりであった。 1820×400×18(1枚)=3280円
以上のように、合計8,980円分の板を必要なサイズにカットし、組み立てると本棚が1セットできる。それを4セットつくるには、35,920円分の板が必要となる。それをホームセンターでカットしてもらうのに、私の場合(たぶんおまけしてもらったと思うが)2000円かかった。業者に頼むと40万、50万もするのだから、材料費は安いものである。
次に、背板用のベニヤは、1800×900×5.5を特売で1枚600円程度で購入した。本棚4セット分で6枚購入した。ところで、棚板は重くてもホームセンターでカットすれば自家用車でも運べなくはないかもしれないが、背板用のベニヤはサイズが大きすぎて運べない。ホームセンターでは、大型商品の配送サービスをしているので、有料でそのようなサービスを受けるのも悪くない。しかし、私の場合は、大型商品を自分で運搬するためにホームセンターが1時間無料で貸してくれる軽トラックを利用した。軽トラックとはほど遠い生活をしてきた私にとって、自分がそれを運転して材木を配達している姿は吹き出したくなるようなおかしな経験であったが、その方がDIYの醍醐味を堪能できるというものだ。 側板と棚板をとめる木ねじについては、ホームセンターの相談係から18ミリの板に対しては太さ3.5、長さ40ミリで十分だとアドバイスされた。形状としては、頭の部分が平らなタッピングネジが目立たないので適しており、材質としてはステンレスがやや高価だが強く錆びにくいのでよい。私の場合は、500本入りで安く売られていたステンレス製太さ3.5ミリ、長さ50ミリのネジ(コーススレッド)を購入した。また、本棚の上下段を接合したり、左右の本棚を接合する際は、18ミリの板の2倍である36ミリよりも短い長さの木ねじが必要となるので、その用途のために太さ3.5ミリ、長さ32ミリのステンレス製木ねじもあわせて購入した。さらに、上下段を接合するためのL字の金具とそれをとめるための太さ2.7ミリの木ねじも購入した。このような材料の吟味に際しては、安価な商品であってもできるかぎりホームセンターの相談係の話を聞いて参考にするべきである。
塗料については、私の場合は透明クリアの水性ニスを使用した。色むらの心配をしなくて済むということと、部屋をあまり重苦しくしたくないということが理由である。 結局、私は8畳間の壁に4本の本棚をつくるだけでなく、床の間にももう一つ本棚をつくることを決め、本棚一本分の材料を買いたした。こうして、本棚5本分の材料と電動工具等を購入したわけだが、それら必要経費の合計は7〜8万円程度であった。業者に頼む場合の6分の1程度である。
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