「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史――ドキュメンタリーからの挑戦」
西岡 達裕
(桜美林大学大学院国際学研究科『国際学研究』第5号、2015年3月)
全文公開中=桜美
林大学学術機関リポジトリのリンク先<http://id.nii.ac.jp/1598/00001087/>
"A Review of the Documentary 'Oliver Stone's Untold
History of the United States,'"
Graduate School of International Studies,
J. F. Oberlin University,
International Studies,
No. 5 (March 2015)
キーワード:オリバー・ストーン監督・アメリカ史・原爆投下
はじめに
『オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史(Oliver Stone’s
Untold History of the United States)』(以下、『もう一つのアメリカ
史』)は、映画監督O・ストーンが歴史学者P・カズニックと共同で
制作した全10回のテレビ・ドキュメンタリーである。2012年、ア
メリカ合衆国のテレビ局「ショウタイム(Showtime)」で放送され、
監督自身がナレーションを担当した。同年出版された副読本(Stone &
Kuznick 2012)は、700ページを超える大冊であり、大量の注とと
もに学術書としての体裁を整えている。
日本では、2013年にNHK-BS1で放送され、副読本の日本語訳(全
3巻)も刊行された。また、NHKでは、シリーズの見どころを伝え
る事前番組や、ストーン監督の来日時に制作された特別番組『オリ
バー・ストーンとヒロシマ』『オリバー・ストーンと語る原爆×戦
争×アメリカ』(以下、『原爆×戦争×アメリカ』)も放映された。
今年(2015年)8月で原爆の投下から70周年を迎える。アメリ
カ人の間には、原爆投下のおかげで日本との戦争に勝利し、血みど
ろの日本上陸作戦を回避できたという国民的な記憶が残っている。
そのため、アメリカでは、原爆投下の否定的な側面はあまり報道さ
れず、被爆地の惨状を映像で学ぶ機会も少ない。『もうひとつのア
メリカ史』は、そのような国内の状況を顧みて、原爆の投下から
21世紀のアメリカ「帝国」の形成に至るまで、これまであまり
語られてこなかったアメリカ史の陰の部分を、映像資料とともに若
い世代に語り継ごうとする試みである。
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