DIYで上げ下げ窓の修理――つまみの交換



トステム(現LIXIL)の古い上げ下げ窓のつまみに不具合が生じてしまい、片側のロックが効かなくなってしまいました。
その状態でもまだ窓の開け閉めは可能ですが、片側だけに重量がかかり、ロックが固くなったり、窓がわずかに
傾いたりするので、できれば修理したいところです。

ネットで調べると、修理代は2万円なら穏当であり、3~5万円くらいかかるところもあるようです。古い家だと、複数の窓に
不具合が生じていることもあり、ちょっと痛い出費です。修理する手間としては、一つの窓の片側のつまみを修理するのも
両側を修理するのも大差ないので、両側が壊れるまで使ってから修理を依頼してもたぶん部品代しか変わらないはずです。
なので、片方のロックでも何とか窓を上げ下げできるなら、とりあえず片方の故障は放置するというのも一つの手です。

ただ、もしこの修理を自分でやれるとしたら、どうでしょうか? ネットで調べても、仕組みや修理方法がほとんどわからない
のですが、私なりにチャレンジしてみたので、その修理・交換の方法を解説してみたいと思います。すぐに不具合を直して
すっきりするか、大変そうだからやっぱりやめるか、あとは人それぞれ考え方次第でしょう。





上図の窓の右にあるつまみを「窓ラッチ把手(とって)」と言いますが、このロックが効いておらず、この窓は
左側のロックだけで止められている状況です。それほど支障はありませんが、修理にチャレンジしてみましょう。

正常な状態では、つまみを親指で押し下げるとロックが解除されて窓が上下に可動できるようになり、
親指をつまみから離すと内部の機構のバネが元に戻ろうとする力で窓にロックがかかります。

もし、つまみが下に落ちたまま跳ね上がらなくなっているとしたら、つまみ自体の故障である可能性が高いので、
ラッチ把手を取り外して内部で金属が折れていないかなど確認してください。ラッチ把手の故障であれば、
同じ部品を取り寄せて交換すればすぐに修理できると思います。あくまで自己責任ですが、左右のネジを
ドライバーで外して、新しいラッチ把手を差し込み、2本のネジを締め直すだけです。部品代はおそらく
1000円~2000円程度でしょう。修理時間は5分くらい見ておけばよいと思います。

しかし、上図のようにつまみが上がった状態であれば、窓内部の機構が故障しているので、分解して修理・交換
する必要があります。おそらく、故障の原因は、窓枠にロックするための棒が折れているので、つまみを上下して
バネが効いている感触があってもロックすることができません。大きく開けた窓を途中まで閉めるとき、手を離しても
自動でロックするはずですが、窓の重力がロックの棒にドスンとかかるので、その時に折れてしまうのだと思います。
古い上げ下げ窓を閉めるときは、最後まで両手で支えながら窓をゆっくり下ろすように心がけたいものです。




上図は、下窓の下枠に格納されている「ラッチケース」です。ケース本体の中央に縦長の穴があり、
その中に丸い穴が見えています。この丸い穴にラッチ把手のレバーを差し込むと、つまみを下げたときに
バネが縮まり、右側の棒が機構の内部に引かれるため、ロックが解除されます。しかし、上図の状態では、
棒が折れているので、つまみを離してバネが元に戻っても棒が飛び出ずロックがかからないのです。

この部品の修理・交換をするためには、窓を取り外して分解する必要があり、慣れていないと結構な手間が
かかるので、技術料が高くつきます。ただ、多少なりともDIYの経験がある人なら、一度やればすぐに覚えられる
レヴェルの技術です。もし窓を自分で分解して元通りにできる自信があるのであれば、ラッチケースを取り寄せて
DIYにチャレンジするのも一つの手です。窓を分解できれば、故障したケースを取り出し、新品のケースと取り替える
作業はまったく難しくありません。その部分だけなら単3の電池を取り替えるのと同じような作業であり、蛍光灯を
取り替えるほど難しくもないのです。

「ラッチケース」は3000円~4000円程度の部品です。上げ下げ窓の下窓を外す方法は、メーカーや
モデルによって異なるかもしれませんが、とにかく難しいのは、窓の分解・取り外しです。それに尽きます。
ご自分の窓の構造をよく見て確認してみてください。今回、私が交換したトステムのゼファー上げ下げ窓の場合には、
下窓が上下するレールごと下窓を取り外す必要がありました。とはいえ、必要な工具はプラスのドライバー1本だけです。




ドライバーで指した部分が下窓が上下動するレールであり、その右側(内側)や窓の下側の金具は外さなくても
大丈夫でした。この写真は、下窓を上に上げた状態でレールの下側半分のネジを抜いたところです。
ネジは片側に5本あり、左右で計10本を抜きました。ネジ山をナメないように慎重に押し回しましょう。
すべてのネジを外したら、レールがぐらぐら動くかどうか試してみてください。

ただ、ネジ10本を抜いてレールがぐらぐら動かせる状態になっても、下側の金具の山が噛んで邪魔になり、
簡単にレールを窓枠から取り外すことができません。そこで、どうしても人手が必要だと思います。
窓を持っている人と、レールを外す人です。

片方の人が、下窓の上下を両手で持ち、窓枠の上方に持ち上げた状態で下窓ごと右側のレールの上側を
手前に引き出し、窓とレールを傾けます。その傾斜した状態で、もう片方の人が右レールを手にとって
下側の金具の山を乗り越えるように引き出せば、多少力尽くでも窓枠からレールを外せるはずです。
左側のレールも同じ要領で外したら、下窓を取り外すことができます。

ポイントは、下窓を上に持ち上げて手前に引いて傾斜をつけてからレールの下部を外すことです。



後でも先でもよいですが、壊れているラッチ把手も外してしまいましょう。この2本のネジは
内部のケースを固定するネジでもあるので、ケースを取り外すために、抜いておく必要があります。




上図は、取り外した下窓の下枠の右側面です。本来であれば、丸い穴からロック用の
棒が突き出ていなければなりません。しかし、この窓は、内部で棒が折れているため、
棒が出入りする穴だけが見えているのです。

さて、ラッチケースの交換方法ですが、上図の丸い穴が空いている長方形の部品は、
ラッチケースではなく、棒の出入りをガイドするため窓に固定されている部品なので、
これを無理に取り外そうとして壊してはいけません。まず、その下にあるネジをドライバーで
外します。そして、この窓の上枠の方にもう一本同じネジがあるので、それも外します。




そのようにして、窓枠の右側面の2本のネジを取り外すと、右側面の全体がパカッと外れて、
ラッチケースが収納されている四角い空洞が見えるはずです。



上図が、下窓の右側面を分解したところです。片方の手で持っているのは、取り外した右側面の部品です。
両手で支えているのが窓本体であり、右端にラッチケースを収納する長方形の空洞が見えます。
すでにラッチ把手を取り外してあるので、ラッチケースは固定されず、この中でぶらぶらの状態です。



逆さまにして振ってみると、無事、故障したラッチケースを取り出すことができました。元あったケースと
同じ向きに新品のケースを挿入しましょう。先ほど単3電池を取り替えるのと同じと述べた工程です。

次に、ラッチ把手のレバーをケース中央の穴に差し込んでから、把手を2本のネジで締めて固定します。

この先は、窓とレールの取り付け作業になります。取り外したときの手順を逆回しで行ってください。

取り付け時の注意事項としては、下窓とレールを窓枠にとりつけるとき、ラッチケースの棒が出たままの状態だと
それが引っかかる場合があるので、下窓を持っている係の人は、もう一人がレールを入れようとする側の
ラッチ取っ手のレバーをつまみながら下窓を持って支えるようにするとよいということです。後は、とにかく
窓を取り外したときの手順と真逆になるように落ち着いて作業すればよいでしょう。

自宅の窓の構造を理解するために観察したり、ネジの状態を確認したりする時間は、個人差があると思いますが、
それが済んでしまえば、実質的な作業時間は多分30分もかかりません。1時間見ておけばまあ間違いないでしょう。

ただ、あくまで自己責任ですので、そのことがわからない人は絶対にマネをしないでください。
もし失敗しても私は一切責任をとれませんので。