犬に傷つけられた木製ドアをDIYで補修
――
紙と木屎で家具をなおす――


愛犬が家具を噛んだり爪でひっかいたりしてお困りの方は多いことでしょう。
室内で犬を飼うとなれば、床や家具の足やドアなど、どこかしらはやられますよね。
    

  
ただ、実を言いますと、今回補修した傷跡は、愛犬タロー君がつけたものではありません。
中古住宅を購入したとき、元の持ち主に「ごめんなさい、ここだけは直せなくて」
と謝られた箇所で、ずっと悩ましく思っていたのでした。
 
問題のドアは、ダイニングからキッチンに入るところにあるので、
ワンちゃんはお母さんが食事の支度をしていると、爪でガリガリやりながら
必死になってこのドアを開けようとしたのでしょう。
 
長年何度も同じ箇所を犬に噛まれたりガリガリ爪で引っかかれたりして出来た傷跡は、
非常に複雑な形をしています。例えるなら岩肌のような凹凸があります。
また、木肌に汚れがこびりついて、黒ずんでいました。



どうですか? こういう記事を書くとき、ビフォアーの画像を先に示すのが定石ですが、
上図は修繕後(アフター)の画像です。ビフォアーの画像は撮り忘れました・・。

どこを修繕したかわかりますか? 一応、これくらい暗めの画像で、クローズアップでなければ、
わからない程度に仕上がりました。

これをどうやって修繕したかという話しですが、とりあえずこれです。↓
 


 
そうです。キズかくしの補修テープを貼ったのです。な~んだ、といわれそうですが、 
ただ、補修テープを貼るまでに下地処理の作業をしなくてはならず、今回はそのやり方を紹介します。
 


この写真でキズの位置がわかると思いますが、申し訳ありません。先にも述べたとおり、
ビフォアーの画像を撮り忘れました。言葉で説明すると、長さ約15cmにわたって、
角の部分が荒く削り取られた状態でした。結構、大きく、複雑な傷跡でした。
 
この写真は、ドア正面の側から彫刻刀を使って凸凹の傷跡を平らにしたところです。
 


アップの画像を見ると、ドアの正面側がだいたい平らにされたけれども、ドアの側面、
つまり木口の側がボロボロの状態なのがわかると思います。彫刻刀を入れる前は、
全体が岩肌のようにごつごつして、黒ずんでいました。
   
修理の計画としては、こうした処理を省略して最初から市販の木工パテで傷口を埋めて、
硬化させたのち、紙やすりで平らにするのが常識的な方法かもしれませんが、
今回私は、傷口のかなり広い面を平らにできそうだったので、正面側から厚紙を
数枚貼り合わせて 高さを調節し、その後で木口の側をコクソ(木屎/刻苧)で埋めるという、
我流のやり方を試してみることにしました。
  
主な理由は、その方が素人の施工でもしっかりと平面と直角が出せるはずだからです。
逆に言えば、ある程度大きく深い傷の場合には、市販のパテで平面や直角を綺麗に出すことに、
それなりの技量が必要になるという心配が私にはありました。
  
     
    
   
DIYを半ば趣味でやっている者として、余った厚紙を切ったり、木片と米でコクソをつくったり、
家にある何かゴミのようなもので「創意工夫」をすることが楽しみであるということもあります。
 
作業的にはまず、コピー紙で傷口の型紙をとり、それを厚紙に写し、必要な枚数を木工ボンドで貼り合わせ、
高さを整えます。補修テープは薄いですが、それにも厚みがあることを一応念頭に置いておきましょう。
    
    

次に、木口の傷穴をふさぐためのコクソをつくります。

今回は穴の深い部分は、先ほど彫刻刀で削った木の屑と木工ボンドをまぶしたもので埋め、
木口の表面は、のこぎりを挽いてつくった細かめの大鋸屑(おが屑)と炊いた飯粒を練り合わせ、
コクソを塗り込んで傷口を塞ぐことにしました。

おが屑は荒いのは捨てて細かいのだけを米粒に練り込んでください。
  
    
  
    
  
こんな面倒なことをしなくても木工パテを使えばよいとお思いでしょうが、これもまあ実験です。
ものは試しにやってみると、木屑と木工ボンドは扱いにくかったので、
ぜんぶ飯粒でこねた方がよかったかなという印象です。コクソというのは、なかなかの優れものです。
       


上図は、コクソを塗って乾燥させ、紙やすりで木口の凹凸を整えたところです。
これで紙を貼り合わせた正面側と同様、木口の側も真っ平らになり、
形状としては、狙い通りに平面と直角を出せました。
 
コクソは飯粒の水分が蒸発すると若干痩せるので、少し浮き上がるぐらい
厚めに塗っておいた方がよいと思います。紙やすりとの相性はよく、
堅すぎて削れないとか、脆くてボロボロに崩れることはありませんでした。
  
ところで、実験として、コクソの上にドア用のニスを塗り、その上に木目を描いたらどうなるか、
ということも試しました。出来映えはまあ悪くなかったと思います。ただ、同じニスを塗っても
ドアの化粧板とコクソの色や質感を合わせるのはやはり難しいです。もっとよくしたいなら、
油絵の具を調合して色を作れば少しよくなる可能性があります。
  

  
でも、今回はドア正面に厚紙を貼り、その上に補修テープを貼る計画なので、
木口の方まで折り曲げて貼って、患部全体を覆うことにしました。



仕上がりはどうでしょうか? 正直なところ、上の写真を見たら、コクソにニスを塗ったときよりも
補修テープの方が悪目立ちしているようにも見えます。う~ん。でも違うんです・・・。
 
こっちの画像を見てみてください。
   


この写真で見ると、そんなに悪くないでしょう? 
屋内の自然の光で、目の高さから見ると、修繕部分はそれほどは目立ちませんよ(キッパリ!)。
  

  
たしかに、こんなアップで見たらバレバレですね(笑)。でも、普通の生活の中で見る風景は、
冒頭に掲載した写真みたいなものなのですから、まあよしとしましょう。
  


おしまい。