国際政治学とは
国際政治学とは、どのような学問でしょうか。「国際関係論」の一つの分野とも、
政
治学の一つの分野とも考えられます。
「国際関係論」とは“International
Relations”の訳語です。直訳すると「国際関係」
のはずですが、なぜか「論」がついています。これは、20世紀の世界大戦という
経験から、「国際関係」を学問の
対象とする必要性が唱えられたものの、「学」と
呼べるだけの方法論がなかったためと考えられます。
国際関係とは、伝統的にはおもに国家(国民)間の法・政治・経済ならびに国際
機構
から成り立っていると考えられてきました。国際関係論の側から見れば、「国
際政治学」はそのうちの「政治」の部
分を対象とする分野であると考えられます。
政治学の歴史はそれよりもずっと古く、科学的な学問領域としての政治学の起
源は
15世紀のマキャヴェリに求められます。古来、政治学は、国家(政府)の政
治についての学問でしたが、国家の仕
事は内政と外交に大別され、外交も重要
な研究分野となります。もちろん、中世・近世には「国際政治学」という
独立した
学問領域はありませんでしたが、国際政治とは一言で言えば国家の行う外交の
総体ですから、国際政
治学の起源は政治学と同じだけ古いと考えてもよいかも
しれません。
しかし、問題は、自国の安全や繁栄のための現実主義的な外交の追求が、結
果的には
国際秩序を乱す原因となり得るという事実です。そのような事実から、
国際政治全体を見渡す国際政治学の必
要性が認められねばなりません。そこに
は、マキャヴェリ的な現実政治の発想を超えた理想主義的な発想
も必要になって
きます。国際政治学を志す者は、「現実理解に基づく理想の追求」という問題に絶
えず直面
せざるを得ないものだと思います。現実を知ることと、理想を持ち続ける
ことには、それぞれに別の難しさ
があります。そして、この二重の困難こそが、国際
政治学の醍醐味であると考えられるのです。
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